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2007年3月29日 (木)

読書感 八甲田から還ってきた男

070328 八甲田山雪中行軍、といえば新田次郎の作品で映画にもなりましたので「死の彷徨」として、あまりに有名です。あの大遭難は青森市を出発して八甲田に入ってすぐ遭遇してしまい、多くの軍人が亡くなったのですが、同じ時に一週間かけて弘前から十和田湖をぬけて、南から八甲田山をこえて青森市まで行軍した部隊があったのです。十和田では通過した弘前の部隊を、八甲田を超えてやってきた青森の部隊と間違えたり、遭難して凍死している青森部隊を横目で見ながら弘前部隊は青森まで来た、と噂まででたぐらい両部隊は同じ時間に八甲田を別方向から目指していたのです。新田次郎の小説でも少しだけ弘前部隊のことが触れられていて、読んだ時に「方や遭難、方や踏破、何故だろう??」と思っていましたが、その踏破に成功した方の雪中行軍隊長・福島大尉の生涯をえがいたのが、この本です。

 当時としては冬の八甲田踏破は画期的な出来事だったはずなのですが、青森部隊の遭難の責任を隠蔽するために遭難軍人を「軍神」と崇めつつ、片方で成功した事実は「なかったこと」にした当時の軍部の見方があったため(新田次郎の小説も青森部隊の悲劇をえがくことが中心)、現在の私たちも八甲田雪中行軍の「遭難」は知っていても「成功」の方はあまり知らないのですね。

 私にとって以前から気になっていた出来事の詳細を教えてくれた一冊でした。

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